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記者会見(2013年6月14日(金)

秋田県庁で行われた記者会見の模様をご紹介します。

司会:

8月25日からわらび劇場で上演いたします、ミュージカル「小野小町」について記者会見を始めます。 4人の登壇者をご紹介致します。まず、脚本の内館牧子先生。続いて、初演に続きまして演出を務めます、わらび座の栗城宏です。舞台はセットを一新しまして、若々しいコンビを組んでおります。小野小町を演じます、碓井涼子です。そして、小町を慕って秋田までやってくる深草少将を村井成仁が演じます。
それでは、今日はミュージカルのラストナンバー「これが私の人生」という曲をご披露したいと思います。
実はまだ内館先生にも聞いて頂いていない、本邦初披露です。

♪これが私の人生





プロデューサー 笹本成子

「こまちで元気!」と言うアピールがぴったりの内館先生に書き下ろしていただいた、痛快で熱いミュージカルです。
秋田を熱く描いて頂きました。今回も観終わった後、とてもすがすがしく、人が愛おしく思えるような舞台にしたいと思います。
8月の熱い中、準備をしてわらび劇場初日を迎えます。そして、来年は5月に青森県を皮切りに、東京・国際フォーラムにて上演し、7月末まで全国公演、そしてできれば最後に故郷・秋田県で上演したいと考えております。わらび座にとりましても、秋田にとりましても、とても力になる、今の時代に勇気を届けられる舞台に仕上げられるのではないかと思っています。
内容については先生方にお話しいただきますが、再演にあたり、改めてお伝えしたいのは、人を理解することが、しなやかな心と愛を育み、私たち自身を強くしていってくれる舞台だということです。小町は、彼女が出会う様々な荒波の中で自分を見失うことなく、蝦夷の娘として、深く人間を理解する女性へと成長し、秋田に帰ってきて人生を過ごします。
東日本大震災を経て、いま東北のみんなが手を取り、様々なことを乗り越え、明日へ勇気を持って進むことが求められている時代です。舞台を観て頂いた一人一人の胸へ届く舞台にしたいと思います。
再演に当たりましては、ご紹介させて頂いた通り、若い、フレッシュなわらび座のトップの俳優を配置しています。内容的にもブラッシュアップし、ミュージカルとしての前進した音楽と演出で、ご覧いただいた皆様がこれなら全国にも打ち出していくぞ!と思って頂けるような舞台としてお届けしますので、是非ご期待ください。

脚本 内館牧子

再演が決まって大変喜んでいます。 久しぶりに自分の書いた台本を読み直して、また色々細かく手を入れたりしたんですけれど、改めて思ったのは、「我ながらいい台本だなあ」と (笑)。6年経って読んでみて、本当につくづく思ったんですね。そしてもう一つ、「私は本当に秋田が好きなんだなあ」と思いました。これはおそらく、秋田と秋田の女が好きでなければなかなか描けないだろうと自負しております。ぜひ多くの方に観て頂きたい。小野小町という人が、あまりにも男に取り入るしか能の無い、単なる美人だと取られていることが、以前から釈然としなかったんです。例えば、「花の色はうつりにけりないたづらに…」というあの歌ばかりが有名になる。「美人だった私が若くは無くなり、悲しいわ。女の命と花の命は短いのね。」と嘆くだけの女として取られている。だけれども、それは事実そういう事はあるにしても、秋田の女がそんな軟(やわ)なわけはないんです。そこで色々探しましたところ、「我死なば 焼くな埋むな 野に捨てて 痩せたる犬の腹を肥やせ」という歌に当たりました。この句は実は小町の作ではないという説もあるんですが、小町の作だという説もあります。それできちんとプロに聞いたところ、「はっきりしていないところはどうにもならないんだ」という事だったので、「しめた!」と思って、これはもう小町の作であるという説を取りました。それと全国の色んな所が「小町はうちの人間だ」と言っています。これを調べてみますと、死んだ場所ははっきりしていないのですが、生まれは秋田であり、秋田美人の原点であるということだけは明確なんです。私がわらび座の方たちと取材に行きました時に、小町が晩年を過ごしたであろうという岩屋堂を見まして、「これだ」と思って書きました。ですからおそらく、この舞台をご覧になった方たちは絶対に一人の人間として、一人の女として自分の足で生きていったのだと思わされる本にしたいと強く思っています。
本当にこんな若い、こんな素敵な新しい二人が演じてくださいますし、若い方たちに一人でも多く観てもらって、秋田を立て直すためにも、少しでも力になれたら、こんなに嬉しいことはありません。大震災以来、何かというと東北は粘り強いとか東北は我慢強いとか言われていて、だからどうだっていうんだというのが私の中にはあるんです。この作品に出てくる小町は真正面からケンカしています。ですから、東北は我慢強い、だから頑張れよと言うのではなくて、ケンカすべきところはケンカし、言うべきところは言う!ということでやっていきたいと思って、そういう小町像にしてあります。舞台を通じて少しでも元気をもらって頂けるなら、こんなに嬉しいことはありません。

演出 栗城宏

演出をします、栗城宏です。1200年前の平安絵巻を内館先生の脚本は見事に現代の絵巻物として、伝説の人物と思われていたような小野小町を本当に現代に蘇らせてくださいました。私も先ほど内館先生と打ち合わせをしながら、6年ぶりに台本を読んで、今の時代にこそピッタリだと痛感しております。先ほども話にありましたが、震災を経て、台詞の一言一言の重みが6年前とははっきり違っている事を痛切に感じています。現代を生きる人々に伝えるそういう台詞の重みや、裏の深い意味をくみ取って丁寧に演出していきたいと思っています。わらび座で作品を再演するのは時々ありますが、今回のように出演者全員を一新して、新メンバーで上演するというのは初めてのことだと思います。これは、逆に言うと、前の作品にとらわれず、新鮮な感覚で物語を再構築できる強みだと思っています。みんなで力を合わせて、新しい小野小町を生み出していきたいと思っています。



小野小町役 碓井涼子

小野小町を演じさせて頂きます、碓井涼子と申します。私は富山県出身なのですが、初めて今回の出演の話を聞いた時は思わず叫んでしまいました。まさか自分があの「小野小町」を演じさせていただける事になろうとは思ってもいなかったので大変驚きました。秋田でいう「どでん!」してしまいました。改めて台本を手にして読んだ時に、小町の溜飲が下がるような気の強さが印象に強く残りましたが、読み深めていくうちに、小町は都に行って色んな人と出会う中で、人の痛みを知り、自分の行いを悔い、そして人に愛されることによって強くなっていったのだなと感じました。最後は、「生きる事は本当に苦しいけれど、苦しくても楽しいのだ」と思わせてくれる小町だと思いました。何分緊張しておりますが、精一杯頑張ります。そして多くの皆さんに、東北の方だけでなく全国の方に、「私も小町のように生きたい」「自分も小町のように生きる事を楽しんで、苦しくても最後は楽しかったと思える人生を送りたい」と共感していただけるような小町でありたいと思います。宜しくお願い致します。



深草少将役 村井成仁

深草少将を演じます、村井成仁と申します。初演の2007年の時、僕はわらび座にも秋田にもおりませんでした。出身は愛媛県で、上演当時の6年前は大学生でした。大学時代に壁にぶち当たり、実家に帰っていた時に坊っちゃん劇場でわらび座の作品に出会いました。それ以来わらび座の大ファン、そしてわらび座に入りたい!と強く思ってしまいました。深草少将が小町を追いかけて都を捨てて秋田にやってきたように、僕も大学を捨てて(笑)、いや辞めて、秋田にわらび座を追いかけてやってきました(笑)。今年でもう4年目となりますが、まさか自分が「小野小町」に出演するとは思いませんでした。初演の時の評判は良く耳にしていました。女性の強さや愛、信じるという事がお客様の心に伝わっていて、「大好きだ!」と仰るお客様が多くいらっしゃいました。まさか4年目で自分が出演できるとは…!!大震災以後、秋田で強さや愛、信じるという事を伝えられるこの作品に出演することは僕にとってもお客様にとっても貴重な作品になるのではないかと思っています。今自分が持つ精一杯をこめて、僕の売りでもある若さも持って(笑)、この小町の強さを際立たせられるような深草少将になりたいと思っています。宜しくお願い致します!

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記者からの質問1

内館先生に伺いたいのですが、先生にとってわらび座とのかかわりは「小野小町」初演と合わせて2回目だと思います。先生が脚本を書かれていく中で、わらび座について、どのような感想を持たれていますか?

内館牧子

わらび座とは何のご縁も無かったんです(笑)。
それが突然プロデューサーがいらして、「小野小町を書いてくれませんか?」と言われたんですね。その時テレビやらドラマやらいろいろとお仕事があり大変忙しかったのですが、小町について、もの凄く思いがあったものですから、お引き受けして、そこでご縁が出来ました。
とても面白かったのは、東京で「わらび座を書く」と言ったら、皆がものすごく驚いて、「あそこは秋田を拠点にしているんだけど、演じること、物を創る事でご飯を食べて行けるのはあそこと劇団四季だけだよ」と随分言われました。これが嘘か誠か、東京ではそういう評判がたっていたんです。現実に私はわらび座に何度も足を運んで、稽古も見ましたし、たざわこ芸術村も案内して頂いたんですけれど、やはり、秋田を拠点にして、田沢湖から一丸となってとにかく文化を発信するという、その気合がすごいと思いました。相撲でもそうですけど、ブチかまして、まわしを取って、がぶり寄りすれば、必ず土俵を割るんです、相手は(笑)。ですからわらび座にはそれを感じます。土着のもの、つまり、東北のものをミュージカルに仕立てよう、すでに出来ているものではなく、東北のものを中心に仕掛けようという「ぶちかまし」がある。そしてドバッとがぶり寄る。必ずもっと土俵を割る、割らせる大きな劇団になると思っています。ですから、わらび座は私にとって興味も関心もありますし、またこれからも書いていく機会があれば書きたいなと思わせてくれる劇団だと、これはお世辞抜きにそう思っています。


記者からの質問2

6年ぶりの再演という事で、なぜ今再演することに至ったのかを教えてください。震災の影響もあるのでしょうか?

笹本成子

震災も大きな意味を持っています。わらび座は秋田・東北と共に生きています。東北には災害、二次災害をはねのけていく力がある。それは一人一人の心の中に、困難をはねのけていく根拠・エネルギーがあるという事だと思います。それはこの土地の歴史でもあり、この土地にはそういう力があると思います。今の私たちを築き上げた秋田の大地や、秋田の先人たちの力をもらえるという事もあります。小町に内館先生が込めて下さった蝦夷の力や、小町に託されている人間を深く理解することで本当に人との理解と信頼や愛情が築かれるんだということも伝えたい。様々な困難をはねのけていくときに、ただ強く在れば良いという事ではなく、跳ね除けるだけの理解、歴史を感じる多様なものが舞台には詰め込まれています。だからこそ「今こそ小町」だと思っています。小町は800年ころの生存の記録だと思っています。800年の秋田は、ちょうど大和朝廷が攻めてきた時代。そういった蝦夷が大和と向き合っている時代に小町は生まれました。エネルギーのある歴史と人々の血をお見せしたいなと思っています。


記者からの質問3

出演のお二人にお伺いします。前回はわらび劇場最大の観客動員を誇った大ヒットミュージカルとのことですが、改めて役作りするうえで心がけている事は?

碓井涼子

自分自身も手探りの状態ですが、「強い」という意味・中身を深めて行きたいと思っています。ただ強いと言うだけではない、真っ向から人や出来事と向き合える強さ。一人で生きる強さではなく、人とのかかわりの中で、しなやかに優しく、大らかな強さを持つ小町を演じたいと思っています。

村井成仁

深草少将は天皇の息子の役なのですが、その(身分の)すべてを捨てて秋田へやってきます。僕は初演を一切見ていないんです。今は手元にある台本だけでイメージを膨らませながら読ませて頂いて作っている所です。新しい「小野小町」を作り上げる意気込みです。


内館牧子

私、朝青龍とケンカしてから、どこに行っても「気が強くてケンカ腰の女」と言うイメージが強くて思われることがとても多くて困っているんですが、そんなことは無いんですよ (笑)。出演者のお二人もおっしゃる通り、この作品のテーマは「強さ」です。これはケンカが強いとかタイマンを張るとかではなく、「強いからこそ美しい」…と言うキャッチがある通り、「強く生きていく」という事を大きな柱にして考えたつもりです。皆さんが仰る通り、一人で生きることを強いとするのではなく、強く生きていく事はどういう事かと。小町はあいまいなところも沢山ありますが、彼女の人生を紐解いていくと、彼女は何があっても毅然として生きてきたという事ですね。「我死なば…」の歌だけではなく、時の権力者・藤原氏に向かって堂々と「あんたは人に寄生して生きている男よ!」と言うわけです(笑)。実際に小町は何があっても毅然として生きてきたのだ、ということがこの歌などから見えてきます。そうすると、強く生きる事とは、顔を上げて毅然と生きるという事は、女の人にとっても男の人にとっても非常に美しさを見せるのではないか、という事で書いていました。
震災その他、大変苦しいことが東北にありました。私の父も東北・岩手県の人間です。私は東北の人間として、東北の持つ精神文化を全国へ発信したいという欲望が非常にあります。その一環として小町が全国へ発信されたら、こんなに嬉しいことはありません。

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