スタッフメッセージ

夢見るKAN-AMI

演出/中村 哮夫

わらび座の、真にわらび座らしい、わらび座でなければ出来ない、わらび座のみ出来る、というようなミュージカルを創りたいと思っています。

わらび座創立の原点である、日本の民族芸能のルーツにつながり、それと、ここ十年余り積み重ねてきた、ブロードウェイ・ミュージカルの手法との交流の成果を問われる舞台でもあります。

中世の日本には「田楽」という芸能が流行りました。 これは文字通り、田の神様に捧げて豊作を祈ったのでしょう。 その中には大変な人気スターも生まれたようです。 それに対抗して現れ、競い合ったのが「申楽」です。 申楽は日本の古代芸能の上に、韓半島、中国大陸、果てはシルク・ロードの方までつながる、外来の音楽、舞踏、そして雑技(手品やアクロバットなど、今日でも上海雑技団というのが有名ですね)などを取入れ、その上で滑稽な物真似なども含んでいたらしい。 その「田楽」と「申楽」の要素を統合して、面白く演劇化して行った人が<観阿弥>です。 後に息子の世阿弥によって幽玄な「能楽」となって行きますが、この観阿弥が活躍した頃はまだ上代の野性を残し、外来の息吹きを取り込み、新しい芸能を創ろうというエネルギーが大きく自由に羽ばたいていた時代でした。

その<野の人>である<KAN−AMI>の芸と恋と、人間と時代がぶつかり合い、響き合う、そんなミュージカルにしたい。 そしてそこに、一種の祝祭的空間を現出させることが出来たらと夢見ております。