15才の浜田謹吾は鼓手として戊辰戦争に参加し、2000キロ離れた大村から角館にやってきた。
奥羽諸藩から攻め込まれている秋田藩を助けるためだ。
逗留先となった平福家では母によく似たキクが暖かく迎えてくれる。
ところが戦争の過酷さは謹吾の想像を遥かに超えていた。
銃弾が飛びかい、砲弾が炸裂し、家や田畑が焼かれ、謹吾は身も心もすくんでしまう。
黒板隊長に叱咤され、謹吾は懸命に太鼓を叩いた。
敵は二千、味方は六百。
圧倒的に不利だが角館の侍たちと力を合わせ、岩瀬川原で敵を食い止め、ついに追い払うことができた。
しかし、冬が近づき日に日に戦況は不利になっていく。
食べ物も底をつきかけた頃、ユキがゆべしを持って現れる。
ユキは合戦で兄を亡くしたばかりなのに健気に差し入れを持ってきてくれたのだ。
ユキの笑顔を見ながら、謹吾は夢を抱く。
「親切な角館の人たちを守り抜きたい。そして一緒に新しい時代を迎えたい」と。