ジョバンニは、病気のお母さんと二人で暮らしている。お父さんは仕事で、北
の海に出かけたままである。ジョバンニのクラスメイトたちは、そのことでいつ
も彼をからかうのだった。
ケンタウルス祭の夜、落ち込んだジョバンニは誰もいない暗い丘にたたずんで
いた。
その時、突然耳をつんざくような機関車の汽笛ととともに――「銀河ステーショ
ン…、銀河ステーション…」という不思議な声を聞いた。
ふと気が付くと、彼はなぜか軽便鉄道の車室に座っており、目の前には青ざめ
た顔をした親友のカムパネルラも座っていた。
旅の途中で様々な人たちと出会い、別れていくうちに、ジョバンニとカムパネ
ルラは「ほんとうのさいわい」が一体何なのかを考えはじめ、それを探し出すた
めにどこまでも一緒に行こうと誓い合うのだが――。 |