2010年4月〜2013年3月 全国公演

劇団わらび座 代表
是永 幹夫
劇団わらび座 代表 是永 幹夫
まず初めに、『火の鳥』に続いてミュージカル『アトム』共同制作のご支援をいただきました、中山区長をはじめ新宿の皆さま方、協賛いただきました手怎vロダクションの皆様に厚く御礼申し上げます。 新宿文化センターから、2008年4月末からミュージカル『火の鳥』は、日本列島巡回公演をしました。 正確には298回、北海道から九州までたくさんの方に見ていただいて、最後にまた新宿文化センターで終えました。
23年前に手恷。虫先生が超多忙の中、2度も亡くなる前に秋田に来ていただきました。 『火の鳥』の初日、手恊謳カの奥さまに舞台を見ていただいたご感想を「本当に主人の心を随所に見て胸が熱くなりました」といただきました。 手恊謳カの作品は、皆さんご存じのように命の大切さというものをどの作品でも大事にされています。 『アトム』も『火の鳥』と同じようにたくさんのシリーズ・物語がありますが、私たちはある編を中心にして制作します。 人間らしさが、思いやりの心とか家族の愛情、仲間の友情、今改めて手恊謳カのご意志、志というものを『火の鳥』に続いてこの『アトム』で全国の皆様にお届けしたいと思います。
今回、私たちとしてはとても楽しみなスタッフィング、先生たちを迎えることができました。 『火の鳥』で私たちは劇団として螺旋階段をひとつあげさせていただいたという感じでおります。 私たちは特に伝統舞踊、民族舞踊では他にないコンテンツ、底力をもっているカンパニーと思っています。 しかし、それだけでは立ち行かない時代になっておりまして今回わらび座では初登場の横内さん、手恪品でたくさんのヒット作品を手掛けられ、同時にスーパー歌舞伎でもたくさん仕事をされ、それこそ伝統と現代をつなぐ旗手のような方と、ラッキィ池田さんを迎えて、我々が来年で創立60周年になりますが、うちの最大の強みの民族歌舞が今回ちょっとおもしろい発酵をすると思います。 甲斐先生は、今回7作目です。 我々のヒット作品のそれこそ『火の鳥』、『アテルイ』、『銀河鉄道の夜』、たくさんの名作を作っていただきました。 ブロードウェイ・ミュージカルではない日本の、わらび座のオリジナル・ミュージカルの音楽性を高めていただいた先生です。
この皆さん方による作品創出、そして良知さんと五十嵐さんには、新宿・兵庫公演で出演していただきます。
手恷。虫先生が秋田へお見えになったとき、わらび座創立者の原太郎と5時間くらい対談しました。 あの時の手恊謳カが私たちのカンパニーに届けようとしたその思いは、今回この『アトム』で優れた作品に仕上げていく責任と、同時にメインスタッフの皆様方とのコラボを通じて新しい作品を誕生させることを楽しみにしております。
この作品も2年間全国を歩きます。 是非皆様方の力でご支援お願いします。
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新宿区 区長
中山 弘子氏
新宿区 区長 中山 弘子 氏
新宿区では『火の鳥 鳳凰編』に続いて共同制作第2作目『アトム』を制作いたします。 鉄腕アトムは、2003年4月7日に高田馬場、そこに科学省がありそこで生まれたという設定になっております。 新宿区では、アトムを新宿の未来特使としております。 新宿にとっても縁の深い、それから私たちが今、時代を生きるという時に、時代を象徴し、かつこの時代の危機を切り拓いていく、そういったアトム像を皆様とともに共有できれば、そんな思いでいっぱいでございます。
そしてまた区ではこの『アトム』を上演いたしますのは、この4月から新宿文化芸術振興条例というのをスタートする予定です。 それからまた新しい財団に生まれ変わる新宿未来創造財団という財団をスタートいたします。 この財団は、文化芸術、これから私たちがより良く生きると考えた時、その力となるようなものを新宿から発信できたらと考えています。 そういった思いをのせて『アトム』を全国に発信できたらと思います。
さきほど、スタッフの先生方の話を伺い、私は本当にワクワクしてきております。 今、私たちの時代を切り拓いていったり、人が生きる力、それから大きく時代を見通して行く時に、文化の力が持つ意味、つながる力というのは強いんではないかと思います。
新宿の街は皆さんご存じのように江戸時代、宿場町から始まっており、多くの人々が行き交った町です。 今も外国からも多くのみなさんがおいでいただいております。 ここからまた新たな互いを理解しあえるそんな文化を発信できたらと思っています。
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脚本・演出 横内 謙介氏
脚本・演出 横内 謙介 氏
最初にわらび座さんからお話があったときに手恷。虫作品はわりと何本かやらせていただいていて、勝手にですけどれも「相性がいい」と思っています。 ただ『アトム』と聞いたときによりによってなんでこんなものをやるんだろうと正直思いました。 第一アトムをどうやって出すんだと、いくつか誰でも思いあたるのが…きぐるみ?というのが一つで、もう一つは小さい女の子。 髪の毛をポマードで固めて角にするのか、そういうことを結構大真面目に考えましてね。 結果、正直なところ動くアトムは出てこないことにしました。 原作をこのために全部読みましたけど、もう無数にあるんですよね。 長い連載だし、とぎれとぎれだし、単発でも書かれているし。 時代時代によってアトムの世界観が全く違う。 その中で設定として使えるなと思ったのが、すでにアトムが博物館に入っている「アトムの最後」という、一応ラスト作品。 もうアトムが博物館で抜け殻として置かれているところを人間とロボットが恋をし、アトムの力を借りてその世界の状況を変えてもらおう。 そのためにアトムの復活なんだ、という話があるんですが、これなんかはやっぱり演劇的に使えるな、みんなのイメージのアトムを崩さなくてすむなと。 もう一つは最初からわらび座との打ち合わせであったのは「青騎士の巻」という、これはロボットたちが人間に反旗を翻してロボタニアという国を作る独立革命の話です。 今の時代に合うんじゃないかなと話が始まって、それらの話を混ぜて今のストーリーが出来上がっています。 簡単に一言にまとめると、ロボットと人間の恋があり、それを最終的に救ってくれるのはアトムの心。 アトム自体ではなくアトムの心だけが生き残っているという構想を考えました。 アトムは漫画の中でしょっちゅう首が取れたりバラバラになったり、ひどい目に遭いますが、そのたびにお茶の水博士がそれを泣きながら抱きしめて「おれが直してやる」「電子頭脳がある限りアトムは不滅じゃ」。 つまり電子頭脳だけが継承されていればアトムだと。
簡単に言いますとアトム版ウエスト・サイド・ストーリー。 出てくるキャラクターをずっといじりまわしているうちにだんだんそうなっちゃって、気が付いたらこれ『ウエスト・サイド・ストーリー』みたいだな。 でも実はアトムの中にも『ロミオとジュリエット』を下書きにした巻があります。 だから私は何を書いても、どう変えても、全部手恷。虫の手のひらの上という状態なので、かなり安心して全体を通して「これはアトムだ」というアトムファンも納得してもらえるような片鱗がちりばめられていると思います。
それと今回こだわったのは、甲斐先生にお願いした唯一のリクエストは「僕が鼻歌で歌える曲があること」。 僕が鼻歌で歌えてラッキィさんが面白い振付をするという前提があります。 ラッキィさんも基礎は西洋のダンスだとは思うんですけど、最終的に着地する地点がジャパニーズというか日本人の体・感性、しかも今のね。 そういうところの面白さがあるなとずっと思っています。 甲斐先生はわらび座のことを一番ご存じなので、わらび座が一番生きるメロディーラインを作って、結果僕が今鼻歌で歌える曲が何曲もあるというとてもいい感じになっています。 それで、最終的には僕らの体や今までの体験だとか、歴史、文化を背負って、今の音楽劇を創るというのが目標なのです。 しかもその時にディズニー原作ではなく、日本の偉大な芸術家が作ったものを原作にして日本人のミュージカルにする。 しかも日本の文化、伝統の継承地であったわらび座が『アトム』という作品でやっていくというところに新しい面白さが生まれればいいなと。 そして、ミュージカルを知っている人も驚きつつ楽しめて、舞台を見たことのない人まで、修学旅行で来た学生さんたちにも楽しめるような、今そういう願いを込めて『アトム』を作っています。
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音楽 甲斐 正人氏
音楽 甲斐 正人 氏
今回でわらび座さんと共に作品を作るのが7作目になりました。 ほんとに素晴らしいチャンスを与えてくれたと思います。 今回特に思うのが外国で自国のミュージカルというものがかなり大きな力を出してきている。 そして立派な作品が出来ている。 その中で日本は残念ながらオリジナル、自国の作品というのがまだまだ活発に作られていない。 そういう中でわらび座さんは、10年間作品を作り続けていて、その中で成功した作品が何作もあるというのは、本当に注目すべき点ではないかと思います。 その中で私も作らせて頂いているということで感謝を申し上げます。
今回の音楽ですが、この『アトム』は、わらび座さんの今までの民謡、民舞から始まったこの歴史からみてあまりにもかけ離れた題材だなと思って、どうなっちゃうんだろうって言うのがありました。 でもそれに挑戦、チャレンジしようというわらび座さんの精神に共鳴して、これはちょっと今までと違った作品にしようと腹決めて作ってみました。 結構面白くできています。 横内さんが大変だと思います。 今までと違って今回は一曲一曲が単体で成立するという形になっています。 そういう意味で「鼻歌で歌える」ようになっています。ピースもの、一曲で完成しているという曲が主流。 それで2重唱3重唱、果ては5重唱もあります。 そういう意味で曲が重層的に立体的に組みあがっていますし、ご覧になった皆様に楽しんでいただけると思います。 是非ご期待していただけたらと思います。
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振付 ラッキィ池田氏
振付 ラッキィ池田 氏
振付は、私と私のパートナー・家内の彩木エリと、わらび座の方で高田綾さんという熱血先生がですね、現場のダンス指導という、協力体制のもと進行していまして、振付全部終了いたしました。 早い! これは私一人が終了したと言っているだけで、まだ横内さんも甲斐さんも全くご覧になっていないので全取っ替えとなる可能性もありますが、私の中では幕は明日開いても良いくらいそのくらいの勢いを持って完成しています。
わらび座さんのメンバーは今回初めてお会いしたんですが、初めて会ったような気がしないといいますか。 メンバーの皆さんは若くて僕と全然年が違うんですが、昔、校庭でドッチボールしたような、雪合戦して泣いたり泣かされりしたような、そんな懐かしい心の同級生たちが集まって、夢の中でくり広げられているような稽古場でございまして。 非常に楽しくスムーズにことが運び、私の中では全部終了と。
昨年『火の鳥』を招待していただいて見終わった後、横内さんのほうから「ラッキィさんにお願いをする」「って何をするんですか?」と。 『アトム』と聞いた瞬間頭が真っ白になりまして、昨年の12月、まだ台本が出来上がっていないうちから私のスタッフ20名くらい集めて「もう制作に入るぞ」と。 「ラッキィ先生。内容はどんな感じですか?」「内容は分からない。台本もでてない曲もでてない。ただ想像しながら作ろう」と。 「これは無駄な時間になりませんか?」とスタッフにいわれたんですが、「いや無駄じゃない。今から作っておかないと何が起るかわからない。アトムだぞ」と。 もう半分パニックになりながら昨年の暮、うちのスタジオに集まって夜な夜な徹夜で制作していました。 妄想しながら作りまして、実際台本が上がってきたら全然違う内容だったと。 1月の末に甲斐さんのほうからはれて曲が上がりまして、私のスタッフ一同ホッとして「先生ちゃんとやりましょう」と。 来る曲来る曲ホント楽しい曲ばかりで、ウチのスタッフも朝方まで「ホント楽しいですね」と、普通仕事をある意味徹夜すると辛いですけども何回も楽しくて踊りたくなっちゃう曲ばかりで。 これから先さらに修正して東京公演では新にメンバーが加わってどんどん発展していくと思います。
本当に夢のような『アトム』が、手恷。虫先生と僕の古い付き合いのある手塚眞さんに観ていただけることを願って、これからもさらに妄想しながら作品を完成させていきたいと思います。
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手怎vロダクション 社長
松谷 孝征氏
手怎vロダクション 社長 松谷 孝征 氏
わらび座は手怩フ『火の鳥 鳳凰編』が、手恊カ誕80周年ということで一昨年から2年間やっていただきました。 次が『アトム』だということで、わらび座さんが『アトム』というのはどうなるんだろなと。 実は鳳凰編は、手恷。虫は、1989年2月8日に亡くなっていますが、その1年ちょっと前にわらび座に行きまして、創立者の原さんと対談しました。 その中で手怩ヘ「わらび座大好きですよ。子どもたち相手して全国廻って、それこそじかに人と接して。とても尊敬しています」と言うような話をしていました。 そして原さんは「私は漫画好きですよ。もしやるとしたら火の鳥の鳳凰編をぜひ舞台化したいですね」という話があったんですね。 それから20年後にほんとにこうして『火の鳥 鳳凰編』がやられ、大絶賛を浴びた。 その後、『アトム』をやる。 しかも扉座の横内謙介さんと。 実は横内さんはうちの『陽だまりの樹』というのをもう何年も前にシナリオを書いていただき、大ヒットしたんです。 それとつい最近再演した『どろろ』も舞台化しています。 そういった意味で横内さんとわらび座だったら、すごくいい舞台が出来るんじゃないかと今から期待しています。 甲斐先生の音楽も、前の作品もやっていただきましたので、安心して期待して良いんじゃないかと思います。
1作目『火の鳥』を大ヒットさせていただきました。 本当にありがとうごいざました。 この『アトム』を我々は期待しております。 アトムの姿、形が出るのか出ないのかよく分かりませんが本当に期待しています。 きっと素晴らしい舞台になると思います。
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