ものがたり

すべては家康のキリシタン弾圧により
天草から追放された外国人神父の予言から始まった。

「今から26年後、この地に善き人現れるだろう。
その幼き子は、習わざるに諸事をきわめ
やがては野山に白旗をたて
諸人の頭に十字架(クルス)をたてるだろう 」

そして26年後、島原と天草でキリシタンの農民たちがいっせいに蜂起。
その先頭に立つ鎧姿の美少年こそが
天草四郎時貞と名を変え、男の姿になった16歳の志乃だった…


<登場人物>

天草四郎時貞
本名 益田志乃。神童と噂され、後に右衛門作によって、天草へ連れ帰られ、名を四郎と変え、男として生きることになる。
山田右衛門作(えもさく)
日本で最初の西洋画家。26年前の宣教師による予言を聞き、志乃を神の子「天草四郎」として仕立て上げ、キリシタンである一揆軍の戦いのよりどころとすることを思いつく。
柳生十兵衛
父、柳生但馬守の命を受け、島原に送り込まれてきた、将軍家剣術指南役。内情を探り、四郎や右衛門作の人となりを知るうちに、どうにか彼らを生かしたままこの一揆を解決しようとする。
伊助
一揆軍の中の若者頭。惣吉や平太と幼なじみで、彼らのリーダー的存在。男である四郎に想いを寄せる自分に悩み、当惑する。
惣吉
ハツの兄。身体も小さく、臆病者だが、信仰には誰よりも篤く、神の教えを語らせれば、人々の心を打つ。
平太
大柄で少し抜けたところがあるが、ひたすら明るく、すべてを楽天的に考える少年。天国を信じて疑わず、そこで待つ両親に会うことを願っている。
ハツ
惣吉の妹。トヨとともに、四郎の身の回りの世話をしている。おとなしいが、利発で美しい少女。
トヨ
平太の妹。ハツとは正反対で器量は悪いが明るく人懐っこい少女。
キヌ
志乃の母。右衛門作以外で唯一、四郎の正体を知っている。だが、母としての情を押し殺し、四郎の傍に仕えている。
ミネ
身重の農婦
渡辺藤兵衛
小西家牢人。関が原の生き残り。一揆軍の軍事的指導者。
徳川家光
江戸幕府の第三代将軍。キリシタンを嫌い、その存在が徳川家による全国統治の妨げになることを恐れている。
柳生但馬守宗矩
十兵衛の父。幕府内での柳生家の力をさらに増そうという思惑のもと、息子の十兵衛を現地に送り込む。