スタッフメッセージ

−戦うしか生きる道はない、その時、人間は何を思うのか。−

演出・井上 思

島原の乱は、民衆が権力に弾圧され追い詰められ、戦うしか道は無く、死に向かって突き進んでいった痛ましさと壮絶さがある。そんな極限の中にあって、人間は激しい心の高まりの奥に何を思うのだろうか。

怒り、生への執着、絶望、虚無…僕らにとって想像を絶する世界であったろう。

だが数百年以上を経た今でさえ、世界の各地で同じように追い詰められている人々が大勢いる。

今回の舞台は「天草四郎は実は女だった」と空想し、乱で唯一生き残った山田右衛門作と、時の権力の頂点・将軍家光の命を受けた忍びの者とのトライアングルな関係を通し「精一杯生き抜く尊さ、清々しさ」をお届けしたい。

井上 思 プロフィール
1949年広島市生まれ。日本演出家協会会員、国際演劇協会(ITI)会員。日本大学卒業後、東宝演劇部へ。商業劇場を中心に演出活動を始める。2001年、東宝演劇部を離れてフリーで活動を始める。
時代劇から現代劇、ミュージカル等の翻訳・演出を手がけている。
近年の主な演出・翻訳作品として、「港町十三番地」「あげまん」「疾風の如く」「HAPPY BIRTHDAY」「相談にのってる場合か!?」「兄弟どんぶり」などがある。
わらび座作品ではミュージカル「よろけ養安」で初演出。

−なぜ彼(彼女)は「四郎」として生きねばならなかったのか?−

作・長谷川 康夫

「天草四郎」−その名に、なぜ私たちは言い知れぬロマンを感じてしまうのでしょうか。愛。信仰。迫害。蜂起。殉教。そんな言葉が並ぶだけで胸は昂ぶり、そしてその悲劇を背負う主人公が弱冠十六歳の少年であることに、いっそう心は揺さぶられてしまうのです。

もしその「神の子」である「少年」が、四郎の偽りの姿であるとしたら…。そんな作家の妄想から今回の物語は始まります。なぜ彼(彼女)は「四郎」として生きねばならなかったのか?人々は彼にどんな夢を託し、四郎自身はその未来に何を見たのか?切なくも哀しい結末が待つこの物語を、島原の澄み切った海と空を背景に、四郎をめぐる人々の明るく壮大な純愛絵巻(ラブストーリー)として、描くことができれば…。と、作家の妄想はさらに膨らみ…。

長谷川 康夫 プロフィール
1953年札幌市生まれ。早稲田大学在学中より、劇団つかこうへい事務所に所属。劇団解散後はテレビ、コンサートなどの構成・演出などの仕事を経て、86年初の書き下ろし作品「いちどだけ純情物語」より劇作・演出に専念。「少年日記をカバンにつめて」「夜明けの花火」「フレンズ」など数多くの舞台作品を発表、「悪女について」「港町十三番地」他東宝作品にも脚本提供。映画は90年に「バカヤロー3」で監督デビュー。以後「ホワイトアウト」「亡国のイージス」他、多くの脚本を手がけ、監督作として「恋は舞い降りた」がある。