碓井涼子インタビュー
2005年5月収録
出身は?
富山県です。今年24歳。研究生を卒業して4年目。初舞台は「つばめ」です。
突然ですが、動物占いは何ですか?
コアラ。私、ボーッとする時間が必要なんです。ぶっつづけで自習するよりも、途中で一回ボーッとしたほうがモチベーションが上がってくる。それまでわからないことやできないことが、少しずつ解決されていったりする・・・。
小さいときはどんな子どもでした?

舞台を見に行って、次の日に真似してました。メンバーを集めて教室でやったり、ありあわせの自分の服を衣裳にして踊ったりしていましたね。舞台を見た後ずっーとそのことを考えてるんです、ああ、あそこ面白かったなあとか、授業中ずっとそのこと考えていて困ると、三者面談で先生から言われたことがあります。しかも、その状態が一週間くらい続くって(笑)。
わらび座に入りたいと思ったきっかけは?
小学校6年生の時に初めてみて、それからずっとわらび座に入りたいと思って…
すごいですね。そして高校を出てすぐに?

そうです。小さいときから、親がわりといろいろな舞台を見せてくれていて、漠然と舞台の仕事をやる人になりたいと思っていました。物心ついたときから。
わらび座の作品で初めて見たのは歌舞作品だったんですけれども、舞台を見る前にわらび座のパンフレットを見たんです。着物を着ておどっている写真で、それまで見てきたお芝居の、赤毛で洋服着ておどっている楽しげなパンフレットとは違うじゃないですか。正直、つまんなそうだなって思ったんですよ。で、「今回行かない」ってお母さんに言って(笑)。でも、まあ見てみろと言われて見たらすごく感動して…、自分もやりたいと思ったのがきっかけですね。
そのとき見た役者さんと一緒に舞台に立つというのは…?

すごいですよ!はじめはその感動が大きくて地に足がついてなかったですね。自分が一緒に舞台に立ってるぞ〜っていうだけですごく満足して。 「銀河鉄道の夜」でカムパネルラをやることになって、どう思いましたか?
ビクビクしました(笑)。前作の「ドクトル長英」では、長英の奥さん役だったんですけど、その前はセリフのない役でしたから(笑)。今回、カムパネルという役をいただいて、すごくびっくりしました。
「銀河鉄道の夜」はどんな舞台だと思いますか?
繊細な作品だと思います。「静か」で「熱い」舞台だと思いました。最初、全体稽古に入ったときにその言葉が浮かんだんです。舞台の上でわめいたり、どなったりはしないし、ドキドキワクワクして「次はどうなっていくんだ」と思うような展開はしないんだけれども、静かで心が燃える、熱ーい涙が流れる・・・そんな舞台だと思いました。
そんな「銀河鉄道の夜」に出演することになって・・・

原作を読んでみて、最初はとても透明感があって、幻想的で、とても美しい物語だと思ったんですけれども、正直意味のわからないところや難しいところが多かったんです。
自分がやるとなって、改めて勉強し、賢治さん自身のことや本を知っていくうちに、賢治さんが実際に見たものとか感じたものとか、常に思っていることや、人生そのものが「銀河鉄道の夜」に書かれていると思ったんです。
カムパネルラの言葉は、今生きている自分達への賢治さんからのメッセージだったり、ジョバンニもカムパネルラも2人でひとつ、2人が賢治さんそのものだと思うんです。
そういう賢治さんの人生そのものが詰まった作品をやるということ、それも「カムパネルラ」という役をやるってなると、演じる自分自身が、賢治さんみたいに生きられないと演じられないような気がして・・・
単に「このひとはすごいなあ」「こういう人生が送れたらいいなあ」とか「こんな風に生きられたらいいよね」と思うような傍観者だと、とてもじゃないけれど演じられる役ではないと思いましたね。
花巻公演前のゲネプロ(舞台稽古)のときに、(音楽の)甲斐先生が稽古の最後に、全員に「普段から宮沢賢治さんを生きてくれ」ということにおっしゃったんです。
役だけではなくて、自分自身が賢治さんみたいに生きようとしてくれと。それを聞いて、決心がついたというか、自分が「できるのか?」とさまよっていた所に、ボーンと決定稿を出してくれたというか、そう生きなきゃできないよと、そうしなければ、この舞台は崩れていくよとはっきりおっしゃったんで、(賢治さんみたいに)そう生きなきゃいけないんだと実感しました。
役作りなどで苦労した点は?
全部と言ったらなんですけれども(笑)。なんだろ、やっぱり、んー、主役だなと思えば、演技についてもそうですし、・・・どちらかというと、自分は動きがてきぱきしているほうではないと思うし、だから、カムパネルラみたいな優等生で、運動神経も良くて判断力のある人間というのは、自分とはかけ離れていると思うんですね。体の所作だとか全部そうですし、声だとか、体の動きを作るのは苦労しました。
舞台の魅力って何でしょうか?

「生」だということでしょうね。パソコンやテレビの画面じゃなくて、そこで生でおきている。ドラマも映画も、舞台も演じていることには変わりはないんですけれども、やっぱり舞台はお客さんが目の前にいて、その目の前で「生」の舞台をやる。だから何が起こるかわからないし、毎日違うし、そういう面白さだと思います。
舞台に立つことが楽しい!と思えるのが一番いいと思うんですけれども、まだそこまで思えないというか、楽しいだけじゃできない。その役を演じる責任があるんです。
舞台って感性の集まりだと思います。役者だけでは舞台は絶対に出来ないし、音響さんの感性、大道具さんの感性、照明さんの感性、それから、一緒に立ち上げるまでの演出家だとか音楽家など、役者を含めてスタッフ全員の感性の塊ですから、舞台は。だから、自分ひとりの意思だけで壊さないようにすることが、責任だと思います。
舞台への意気込みを。
舞台の質を落とさないよう、自分自身の成長を止めてしまわないよう努力すること、共演者たちとのアンサンブルを大切にすることを心がけて、ワンステージ重ねるごとに自分やわらび座にとって、お客さんにとって、大きな収穫のある舞台を創っていきたいです。